
ゲームで遊んで、ゲームで稼ぐ。それはゲーマーなら誰しもが夢見た理想でした。
NFTゲームを知った時、この理想がついに実現する世界になったのか! と胸を高鳴らせた人も多いでしょう。私もそのうちの一人です。
しかし、NFTゲームについて調べていくと、どうも思い描いていたものと違うと感じました。
この違和感はなんなのか? ゲームで遊んでゲームで稼ぐのは、やはり人類が到達しえない理想なのか!? 今回は、そんな想いを元に、NFTゲームの未来を予想してみました。
NFTがゲームとどうなっていくのか。一緒に予想しながらご覧ください。
NFTゲーム昨今の動向

まずは、NFTゲームの現状と近年の動向を見ていきましょう。
NFTゲーム市場は急成長中
NFT市場の加熱は2022年に終わりを迎え、現在は沈静化していると言われています。
しかし、NFTゲーム市場は現在も拡大を続けていて、市場規模は、2022年の7億5千万米ドルから、2029年には約36億米ドルへと成長すると予想がされています。
(参照:「世界のNFTゲームプレイ・トゥ・アーニング市場レポート 2023-2029年」より)
デジタルアートとの結びつきで脚光を浴びたNFTですが、ゲームとの結びつきでどのような進化を遂げるのか、未知数な部分もあり、それが成長予測へとつながっているのでしょう。
新たなNFTゲームも続々とリリース
従来は、Axie Infinity(アクシーインフィニティ)やCryptoSpells(クリプトスペルズ)のように、コマンド式のゲームが主でした。
近年ではThe・Sandbox(ザ・サンドボックス)のようなアクション性、やりこみ要素があるゲームも登場しています。
今後リリースされる注目タイトルには、従来の作品にNFT要素が加わったメイプルストーリーNやFPSジャンルのSHRAPNEL(シュラプネル)などがあり、これからNFTゲームのさらなる発展が予想されるでしょう。
NFTゲームは廃れていく!

では、今後NFTゲームは大きな発展を遂げるのでしょうか?
残念ながら私はNFTゲームは、このままでは廃れていくと考えています。
稼げることがゲームの進化に影響する?
NFTゲームには様々な問題点がありますが、最大の目玉である「お金を稼げる」という部分と密接に関係しています。
これが暗号資産口座の開設など制度的な部分と、ゲームのバランス部分で複雑な問題を発生させ、ライトユーザーの新規参入を阻むことにも繋がっていくでしょう。
制度的な部分は、一般に広まることでシステムの簡略化が期待できますが、ゲームのバランス部分では、両立できないトレードオフな問題を発生させ、これは解決しずらい難問となります。
次項では、私が考えるNFTゲームの問題点を具体的に解説していきましょう。
NFTゲームの様々な問題点
ここからはNFTゲームの問題点を挙げていきます。
面白さよりも「稼ぐ」が話題になりがち
NFTゲームを眺めてみると、ゲームとして面白さが弱いと感じます。グラフィックやゲーム性、キャラクターデザイン等を見ても、コンシューマーはもちろん、ソシャゲにも大きく劣っています。
もちろん、NFTゲームはまだ誕生したばかりの存在ですので、今後の発展により、これらの問題が解決していくとも考えらるでしょう。
ですが、NFTゲームは「どれだけ稼げるか」という、独自の評価軸が絡んできます。
NFTゲームの紹介を見てみると、どの作品が「面白いか」よりも、どの作品が「お金を稼ぎやすいか」という点で評価されがちです。
こうなってくると、開発側もユーザーも稼ぐ部分が議論の中心になって、ゲームとしての発展に注力されない可能性が出てきます。
近年リリース予定のラインナップを見てみると、グラフィックやゲーム性はたしかに進化しています。しかし、NFTゲームとしての面白さへの追求がなければ、先細りする未来は避けられないでしょう。
遊ぶための敷居が高い
NFTを実際に売買するためには、暗号資産口座を持つ必要があります。
多くのゲーマーにとって暗号資産口座を作るというのは、不慣れな作業で、面倒と感じる人も、決して少なくないでしょう。
また、ゲームを始めるにあたっては、NFTキャラを購入する必要もあります。なかには無料というゲームもありますが、人気ゲームだと開始時点で数万円が必要といったケースもありました。
これは、ゲームの人気が高いために、NFTも合わせて高騰したために起こる現象です。
いくらゲームになると財布の紐がゆるくなりがちなゲーマーにとっても、1作品を遊ぶのに、ハード1台分の費用がかかるのは、躊躇してしまうでしょう。
さらに、NFTは日本円で買えない場合も多く、イーサリアムを購入して、そこから支払うという手順を踏まなければなりません。
制度的にも資金的にも参加ハードルが高いのも、NFTゲームの弱点と言えるでしょう。
NFTがゲームの面白さにつながるのか?
そもそも根本的な問題として、NFTがゲームの面白さに繋がるのか? も考えてみる必要があります。
ゲームは「対戦で相手に勝つ」という面白さがありますが、同じく「キャラやアイテムを育てる」楽しさもあります。
対戦が好きな人にとって強力なNFTは購入の動機になりますが、育てるのが好きな人にとってNFTは魅力に映らないかもしれません。
単純に、誰かが育てた強いキャラを使いたいか? という疑問もありますし、「成長を促進させるNFTアイテム」だとしても、人によって冷める要素になったり、無ければ膨大な時間を必要とするゲームバランスになることも考えられます。
対戦での勝利を望むプレイヤーだけにしか訴求効果がないとなると、NFTの発展は難しいでしょう。
NFTとPvPのトレードオフな関係
またNFTと対戦に焦点を当てた場合、もう一つの問題が見つかります。
それは、強力なNFTを購入したユーザーが有利になってしまう問題です。
もちろんNFTキャラやアイテムが、勝敗に影響しない設計にすることも可能でしょう。しかし人情としては、お金を払ったのだから強力なものにしてほしいという考えになるのも理解できます。
逆にNFTに掛けた金額の高さ=勝率の高さとなってしまえば、NFTを購入しないユーザーからは不満が出るのはもちろん、新規のユーザーも掛かる費用を懸念して参入してこない事も考えられます。
現状は課金、無課金双方のユーザーを納得させる解決策は無いのではないかと思われます。
開発側としても、多額のNFTを購入してくれるコアなユーザーと共に、NFTを購入しないけど遊んでくれる多数のユーザーがいてこそ、サービスの存続に繋がると思うので、ここは無視できない問題と言えます。
PvPなゲームが主流となっているNFTゲームで、この問題をどう対処していくかは、今後の発展を考えるうえで、ぜひとも注目したいポイントです。
カギは家庭用ゲーム? ゆるいNFT

ここまでは、NFTゲームの問題点を述べてきました。
しかし、NFTとゲームの関係は、まだまだ発達の余地があると思われます。素人考えながら、私が考えたこんなNFTがほしい、という意見を挙げてみましょう。
馴染みのゲームも新たな装いで気分一新
私は、1つのゲームを何度も遊ぶことがよくあります。
Fallout4やSkyrim、DARK SOULSなど、数え切れないほどプレイしてきました。いずれも名作と謳われたソフトなので、相変わらず楽しい半面、流石に飽きを感じる場面も出てきます。
しかし、以前にSkyrimで風景を変えるMODを入れてみたところ、新鮮な気持ちで再び遊ぶことができました。
これは料理でいうところの「味変」なのだと感じました。ちょっと飽きてきたところに、一味別のものを加えることで、また新鮮な気持ちで楽しめるようになったのです。
NFTがゲームの「味変」にならないか、と私は考えています。
元は、店売りの平凡な装備だけど、誰かがデザインしたことで目新しくなった武器や鎧。
重要だけど、見飽きた拠点の街と同じ機能を持つ、誰かがデザインした別の拠点。
そういうNFTがあれば、新鮮な気持ちになって、また新たなストーリーを始められるのではないかと考えています。
価格的にも、数百円から高くても千円以内で、誰でも気軽に購入できるシステムがあれば、多くのゲーマーに広がっていくのではないでしょうか。
ライバルはMOD
もちろん、このような機能は既にMODという形で用意されています。しかもこちらは無料です。
しかし、MODはPCのSteamで頻繁ですが、家庭用のゲーム機ではほぼ用いられていません。
一時期、PS4のFallout4でMODの使用ができましたが、メーカー側はあまり関与していないらしく、利用はなにかと不便なものでした。
このようなMODに対抗して、NFTは開発側も関与して、数と質を厳選しつつ、簡単にアクセスできるようになれば、MODよりもNFTを選ぶユーザーも増えていくるのではないか、と考えています。
もちろん、これは私一個人の考えで、経営的にどうなのか、という疑問も当然あります。
しかし、このようなゆるい形でのNFTも増えてほしいと思うのです。
まとめ:ライトユーザーを以下に取り込むかがカギ
今回は、NFTゲームの未来予想と私の個人的な希望を書いてみました。
ゲームでお金を稼げるのは魅力的な反面、やはり煩雑な手続きが伴うのは致し方ないことなのかもしれません。
また今回の問題点を、既に多くの開発者が認識していると考えられます。
NFTゲームが発展して、お金を稼ぐのが当たり前になるのか、それとも廃れていくのか。私はそれ以外の第3の可能性があるのではないか、と密かに予想しています。
ぜひ、この予想が当たるかどうかを見るためにも、NFTゲームの今後に注目してみてください。
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